最初に監督にご挨拶頂き、「今までたくさんの映画を撮ってきましたが、『赤い糸〜』が一番気に入っている作品です。」というステキなコメントからティーチインがスタートしました。
■お客様から最初に頂いた1つ目の質問「ずばり監督にとっての月老(縁結びの神様)は誰ですか?」。
●「実は僕の奥さんは記者なのですが、11年前保護犬活動のことで取材されたのが、出会いのきっかけでした。だから僕の月老はまさに犬です!」
という『赤い糸〜(原題:月老)』の真の主役が名犬アルーなのも納得のお答えでした。
■2つ目のご質問「シャオミーはなぜ湯圓(白玉)をこねながら英語の練習をしているのでしょうか?オーロラを見に行く旅行の準備ですか?」。
●「僕の映画は、ちょっとアホな男の子と賢い女の子が出てきがちなのですが、英語と数学を得意にして女の子の賢さを際立たせているんです(笑)。仰る通りオーロラ旅行の準備でもあります。
また質問からずれますが、今思ったことをひとつお話しします。
本作では冥界をとても豊かで楽しい場所として描きましたが、いざシャオミーが死にそうになると、シャオルンはなぜあそこまで死なせまいとしたのか。
それは、シャオミーがずっと見たいと言っていたオーロラもまだ見れていない。
愛する人が生きているうちにしたいと思っていることがあるのに、簡単に死なせられないですよね。だからシャオルンはあんなに必死になったんです。」
と期せずも感動的なお答えを頂きました。
■3つ目のご質問「撮影について、順撮りでしたか?追撮はありましたか?犬の撮影はどうでしたか?」。
●「犬の撮影に関しては、犬が演技に集中するため、スタッフも役者も撮影時以外は犬との接触も目を合わせることすらNGとしました。
現場には100人以上も人間がいたのに!撮影が終わった瞬間、皆がアルーに集まり、撫でたり可愛がったりしたので、犬はこの人達どうかしてる!と相当戸惑ったと思います(笑)。
また、犬とじゃれ合うシーンは撮りやすかったのですが、役者が泣きながらの犬とのシーンの撮影は難しかったです。
犬は人間がなぜ泣いているのか分かりませんからね。撮影が苦戦したとき、シャオルン役のクー・チェンドンが思いつき、顔に焼き肉のタレをベッタリ塗り、それをキレイに拭って撮影に臨みました。
おかげで犬は焼き肉のタレの匂いを味わいつつ、ちゃんとシャオルンの涙を舐めてくれました(笑)。
映画の撮影期間は45日で順撮り。非常にスムーズで追撮もありませんでした。本作のタイトルでもある月老(神様)に見守られながら撮影できたと思います。
撮影前には月老のいる廟にお参りして、脚本に直すところがあるなら夢で教えて下さいと伝えました。」
と犬の撮影について爆笑を取りつつも、またもグッくるお答えを頂きました。
■4つ目のご質問「シャオルンが胸から出す糸について、あの糸はピンキーと二人で紡んだときの赤色ではなく黄金色に見えましたが?」
●「仰る通り、あの糸は織姫の糸さながら、シャオルンが自分を犠牲にして出した糸で黄金色をしています。それはまさに魂の色です。
せっかくなのでさらにお話ししますが、20年前に書いた小説では700年後2人は再会できました。
でも20年経って考えが変わったので、映画の結末は違います。
1万年変わらず愛すというのは男の気持ちで、女性にその気持ちが伝わればいい。実際にどうするのかは女性の選択です。
後悔や心残りがどれだけあったとしても、一緒に過ごした時間は間違いなく幸せだった。
愛はそういうところが素晴らしいのだと思います。
また余談ですが、カンヌ映画祭に行く前、帰ったらするから、あの鳥の糞まみれの窓の掃除はしないでと奥さんに伝えました。
飛行機で何かあったら、窓の糞を見て僕を思い出してもらえたら本望だということです(笑)。」
■5つ目のご質問は「監督の日本への想いについて、日本に関するエピソードありますか?」
●「鳥山明先生の死は、とても親しい人をなくした気持ちになり、悲しすぎて追悼文を書きながらポロポロと泣いてしまいました。
カンヌ映画祭にはドラゴンボールのTシャツを着ていきました。僕は日本語が話せませんが、誰よりも日本の情報通だと言えると思います。」
と言いながら、監督の後ろに置いてある、「ONE PIECE」含め大量のフィギュア群を紹介してくれました。
■最後、SNSで頂いた「日本で映画撮るなら誰を撮りたいですか?」とのご質問。
●「たくさんいますが、願えば叶う!を信じて、大変恐れ多いですが、北野武さんです!」
とのお答えを頂きました。
最後の撮影タイムには、かめはめ波を送っていただき、最高に楽しいティーチインが幕を閉じました。
改めて、皆様にとても素敵なご質問を頂き、大変貴重なお話しをたくさんお聞きすることができました。
何より楽しかった。
またの機会も考えておりますので、ぜひお楽しみに!
(通訳 by 池田リリィ茜藍)
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