2024/6/29@下北沢トリウッド
ギテンズ・コー監督×山崎貴監督
トークイベントレポート

山崎監督とギテンズ・コー監督

MC:山崎監督、今のお気持ちをお聞かせください。

山崎貴監督(以下「山」):『赤い糸~』ももちろんなのですが、僕は『あの頃、君を追いかけた』が物凄く好きで、今日はギデンズ・コー監督に会えるということで喜んで来ました。

MC:ありがとうございます。今日は晴れてご対面ということで、ギデンズ・コー監督にオンラインでご登壇頂くのですが、実は急遽、本作主演シャオルン役のクー・チェンドンさんも一緒にご登壇頂くことになりました!

――ギデンズ・コー監督と『葬送のフリーレン』Tシャツを着たクー・チェンドンさんがスクリーンに登場。

イベントの様子1

ギデンズ・コー監督(以下「ギ」):『あの頃、君を追いかけた』はだいぶ前に撮った作品なのですが、その映画の縁で、このような貴重な機会を得られたことをとても嬉しく思っています。

山:僕は劇場公開時見られていなかったのですが、すごく評判が良かったので、DVDを買って見たら、あまりにも良くて、本当に立ち直れないくらい物凄く良かったので、これはリメイクすべきなんじゃないかとネットで検索したら、「日本でリメイク決定!」と出てきて、チクショー取られた!と相当悔しい思いをしました(笑)
『あの頃~』は、オープニングから想定されるエンディングにならないところが本当に良かったです。そして主演の女優さんがとても良かった。

ギ:主演女優のキャスティングはかなり苦労しましたが、男性側は意外とすぐ決まりました。
若かりし日の自分に似ていればオッケー(笑)(クー・チェンドンと自分を指差すギデンズ・コー監督) 実はクー・チェンドンは人前に出るトークイベントなどには滅多に出ないんです。でも今回は山崎監督に会えるということで、僕も一緒に出たいと言い出して、僕も驚きました。

山:クー・チェンドンさんは何回もギデンズ・コー監督作品の主演を務めていますし、ギデンズ・コー監督はやはり彼に自分を投影しているんでしょうか?

ギ:やはりすごく信頼しているというのがあります。クー・チェンドンに任せれば、スパークというか化学反応が起きると絶対的な信頼を寄せています。僕が書いた台本のどんな役もきっとうまく演じてみせる。なぜならそれらの役はだいたいIQが低いからです(爆笑) ホントウニバカ(笑)

ク:僕も役者として色んな現場を経験していますが、ギデンズ・コー作品の設定や役どころはリアルヒューマンからほど遠いものが多いです。でもギデンズ・コー組に帰ってくると、いつもリラックスして自由自在に演じられる。そしてすごくハッピーな現場なので、難しいながらもいつも挑戦させてもらっています。

山:聞いていて、映画の撮影のスタイルがもしかしたら似ているのかなと思いました。皆楽しそうにやっていそうですよね。

ギ:そうですね。僕の撮影現場はだいたい悪ふざけばっかりで、笑いが絶えない現場なんです。
「監督ちゃんと撮ってくださいよ!」と現場で一番僕が厳しく指導されています(笑)

山:その楽しそうな現場であることがとても伝わってきますね。
そしてギデンズ・コー監督は、なぜこんなに人の気持ちを切なくさせるのが上手いのでしょうか?何か秘密があるのでしょうか?

ギ:こんなマジメな質問をされると思わなかったので答えづらいですね(笑)
『あの頃~』は自分の実生活で起きたことがベースになっているんです。本当に好きだった子の結婚式に参加したんですが、僕は映画のエンディングのように行動する勇気はありませんでした。でもその結婚式のとき、もうこの映画を撮ろうと決めていました。
もう少しお話ししますと、その好きだった子は僕より背が3センチ高かったんです。その足らない3センチを補えるような、ケンカに勝てる強さなどがあれば、告白できたかもしれないけど、結局はコンプレックスが原因で告白できませんでした。でも結局結婚式で彼女の結婚相手を見たら、僕と同じ身長だったんです!身長差が問題ではなかったんだ!とやっとその結婚式で目覚めました。この話が一番切ないと思います(笑)

山:実話だったんですね。

ギ:本当にケンカもしました。

山:本当にIQ低いですね(笑)

ギ・ク:爆笑

イベントの様子2

山:『赤い糸~』は完全にファンタジーですし、ギデンズ・コー監督はたくさん本も脚本も書かれていますが、どうやってそんなにアイディアを思いつくんでしょうか?

ギ:それは僕の背の高さと関係があると思います。背の低い僕はバスケに誘われません。皆がバスケをしている間、別のことができるわけです。この小さな身体に色んな才能がギュッとコンパクトに圧縮されているわけです。でも今日背の高い山崎監督を見て、やっぱり身長は関係ないんだと思いました。人生って本当に不公平ですね。

会場:爆笑

ギ:『赤い糸~』で一番難しかったのは、この映画のテーマである「死というのは怖いものではないんだ」というメッセージを、どう映画に吹き込むかというところでした。 自分で言うのもなんですが、本作のもっともエモーショナルな部分は、主演のシャオルンが問題に真正面から対抗するのではなく、ひざまずいて感謝し、何とか解決の道を見つけようとするところだと思っています。
皆さん、クー・チェンドンの演技はどうでしたか?

会場:拍手

ギ:なにせ彼はちょっとやそっとですぐ泣いてしまう人ですし、ちょっとやそっとですぐひざまずいてしまう人なので、あのシーンが撮れました(笑)

山:やはりあのシーンは心を持っていかれましたね。今後もまた切ない映画を撮ってくれるんでしょうか?

ギ:ちょうど《功夫(カンフー)》という新作をクー・チェンドン主演で撮り終えたところなんです。彼の役どころは、なかなか高校を卒業できない成績の悪い高校生役なんですが、この作品をもって高校生役は卒業させてあげたいなと思っています(笑) でもクー・チェンドンが、自分の顔は何歳でも演じられるし、若者と一緒に色んな青春映画を撮っていきたいって言っているので…

ク:そんなこと一言も言ってないし!

会場:爆笑

MC:ギデンズ・コー監督から山崎監督にご質問はありますか?

ギ:ネットフリックスで『ゴジラ-1.0』が配信されたとき、僕は新作のポスプロの作業中だったので、ちょうどそのスタッフ達と見ていたんですが、浜辺美波さん演じるヒロインは優しいし、めちゃくちゃ可愛いのに、なぜ神木さん演じる相手役は最後まで彼女をものにしなかったのか理解できなかったんです。男性スタッフ同士で、これには相当な理由があるはずだ!それこそ下半身にコンプレックスを抱えてるくらいのことが理由じゃないと納得いかない!と言ってるところに、まさかの「自分の戦争がまだ終わっていない」というマトモ過ぎる理由だとわかったとき、開いた口がふさがりませんでした(笑)

山:中学生か!!(笑)

一同爆笑

ギ:クー・チェンドンからも質問があるそうです。

ク:小さいゴジラはあの島近辺にいて、最終的には放射能か何かの影響であのような形になったということなんでしょうか?

山:そうですね。ゴジラはあの一帯の海の中にいて、再生能力が異常に強いので、おそらく核実験でズタボロになった身体を治そうとして、必死になったら途中エラーが起きてあのようになったということですね。

ギ:すみません。僕が主人公に選んだこの俳優が低レベルな質問をしたことを謝りたいです。

山:ギデンズ・コー監督の質問のほうがよっぽど低レベルですよ。

一同爆笑

イベントの様子3

ギ:もし『ゴジラ-1.0』パート2があったら、中国語の台詞ひとつでもいいですし、特に泣くシーンなどあれば、ぜひクー・チェンドンの起用を検討してください!

山:あと、ひざまずくシーンですね(笑)

MC:今、日台合作作品など増えていますが、山崎監督はご興味ありますか?

山:はい。台湾は何度か行ったことがあるのですが、街の緑と建物の関係がすごく素敵なので、台湾で撮るチャンスがあったら嬉しいなと思っています。

ギ:ゴジラが台北の街で大暴れするのが見たいですね!(笑)

MC:そろそろお時間なので、最後に一言お願い致します。

山:本当に今日会えて嬉しかったです。とても会いたい監督の一人だったので。想像以上にアホだということが分かり、そこに親しみを感じました(笑) クー・チェンドンさんにも会えて良かったです。今日もいきなり『葬送のフリーレン』だし(笑)、日本のアニメが好きなんですね。会えて嬉しかったです。

ギ:今日一番僕の印象に残った、知れて嬉しかったことは、山崎監督が『あの頃、君を追いかけた』をリメイクできなかったことを大変悔しく思ってくれているということです。その悔しさが本当であれば、これからもずっと悔しがって頂いて、その無念をずっと心に抱いていて欲しいです(笑)

ク:今日は『赤い糸~』の宣伝だと思っていましたが、それ以上に『ゴジラ-1.0』パート2の可能性を感じました!!

一同爆笑
(通訳 by 池田リリィ茜藍)

イベントの様子4

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